森のおともだち

(シカファミリー)

シカファミリーは家族そろっておさんぽが大すき。
なかでも女の子のソフィアのお気に入りの場所は、ふかい森のおくにあるお花畑です。
きもちのいい風にふかれながら、お母さんのプリムローズがお花をつんだり、お父さんのマリウスが小さい赤ちゃんのカイをだっこして木々の間をゆっくり歩いたり。

カイはキラキラ光る木もれ日や風にそよぐ葉っぱを見あげては、楽しそうにわらっています。
ソフィアはそんなカイを見ながら、
(きっと、そよかぜや木もれ日の中に、カイだけに見えるふしぎなお友だちがいて、ないしょのおしゃべりをしているのね。)
なんて考えていました。

ソフィアは詩や、くうそうのお話を書くことが大すきで、とくに森の中ではアイディアがどんどんわいてくるのです。
でも、これはソフィアだけのひみつ。
じつは、森の中で詩を考えているときに、ついむちゅうになってみんなの前で大きな声にだしてしまい、ちょっとはずかしい思いをしたことがあるのです。

だから今も、切りかぶにすわってしずかに木を見上げながら、
(そよかぜさん、木の葉をゆらしてこもれびさんとおしゃべりをしているのね。わたしもなかまにいれて。)
と、考えていたのですが……。
(わあ、そよかぜさんはダンスがとくいなの?すてき! わたしにも教えて!)

どんどん楽しくなってきて、
「そうだ!みんなでいっしょにおどらない?お花さんたちー。こっちにおいでよ。」
と、だれもいないお花畑にむかっておどりながら話しかけてしまいました。
そばにいたお父さんとお母さんはわけがわからずに目をまるくしています。

(しまった!)
はずかしくて、かおがまっかになったソフィア。
「これはくうそうのお話で……。」
あわててせつめいしようとすると、お父さんがにっこりわらって言いました。
「ソフィアにはすてきなお友だちがいるんだね。ぼくたちにもしょうかいしてくれるかい?」

お母さんもじまんの手作りジャムのサンドウィッチをならべて、
「はじめまして。お花さんたち。みんなでランチにしましょう。」
ランチをしながら家族にくうそうの物語をきいてもらって、ソフィアはうれしくてたまりません。
「またすてきな詩が書けそう!」
森のおさんぽがますます、すきになったシカファミリーでした。

商品ページへ
HOME おはなし一覧