すなおになれたら

(ショコラウサギの男の子)

今日も朝からにぎやかなショコラウサギファミリー。
「お父さん!大変、おなべがふきこぼれてる!」
「フレア、今日は早く行くって言ってなかった?」
「どうしよう、ちこくしちゃう!」
その様子をやれやれ、と牛乳を飲みながらあきれ顔で見ていたのはショコラウサギの男の子ココ。
「もっとはやくおきればいいのに。さ、ぼくはあそびに行こうっと。」

ココはひとり、外に出ました。
「おーい!ココ!いっしょにあそぼうよ!」
公園で、友だちのくるみリスの男の子ラルフが大きな声でよんでいます。
「今みんなでかくれんぼしてたんだ。」
「かくれんぼ?」
ココはあまり気がのりませんでした。もっと小さい子の遊びに思えたのです。
「ぼくはいいや。かくれんぼはちょっと……」

公園を通りすぎて歩いていると、クマファミリーの家の前で、クマの男の子ピアーズとマシュマロネズミの男の子クリストファーがホースで水をまきちらしてあそんでいます。
「ふたりとも、何してるの?」
「にじを作ってるんだ。」
ココは太陽のばしょをぐるりとかくにんすると言いました。
「もっとあっちから、この家の方に向かってやればできるよ。」

「いっしょにやらない?水がつめたくてきもちいいよ!」
ピアーズがさそってくれましたが、ココはびしょびしょのふたりを見て言いました。
「服がぬれるから、ぼくはいいや。」
そう言ったものの、ココは少しふたりがうらやましくなりました。
そんなココの様子をうしろから見ている友だちがいました。ハスキーの女の子、ポーリーンです。

「ココ!こんなところにいたんだね!みんなとあそばないの?」
「うん……」
「本当は、水あそびしたかったんじゃないの?」
ポーリーンはココのことをひじでつんつん、とつつきました。
「べ、べつに?」
「もう、しかたないなあ!」
ポーリーンはそう言うと、自転車のうしろにココをのせました。

「しっかりつかまっててよね!」
「待って、待って!」
ポーリーンは自転車でスピードを出して走るのが大すき。ココは急に心配になりました。
「いくよー!」
ポーリーンはいつもより少しだけスピードを落として走ってくれました。
顔にあたる風が気もちよくて、気づくとココは笑顔になっていました。

すっきりした気もちで自転車をおりたココ。
「ありがとう、ポーリーン。ふたりのり、たのしかった。」
ポーリーンはうれしそうに笑って言いました。
「ちょっとこわがっていたくせに!」
「そ、そんなことないよ!」
「たのしそうだな、やりたいなって思った時はねぇ、やってみればいいのよ!」
ポーリーンが友だちで本当によかったな、と思うココなのでした。

商品ページへ
HOME おはなし一覧