ゆめのスケッチブック

(ショコラウサギの女の子)

ショコラウサギのフレアは、いろいろなことをやってみたい、明るくやさしい女の子。
お友だちや村の仲間と過ごすことが大すきです。
そんなフレアのいちばんとくいなこと、それは絵をかくことです。
ある日、お父さんとお母さんはフレアに新しいスケッチブックをくれました。
まっ白な新しいページをひらくとフレアの心はわくわくしました。
「これに好きなものをたくさんかいて、私たちに見せてね。」
「ありがとう、お父さん、お母さん。」

(なにをかこうかな?)
村の道を歩いているとくるみリスのラルフに出会いました。
「森にたんけんに行くんだ。」
「おもしろそう。わたしもいく!」
ラルフは森が大すきでひみつの道や場所をたくさん知っています。小道を上がるときれいな山のてっぺんに出ました。
「見て!さいこうのけしきでしょ?」
「きれい!こんなところをしっているなんてすごいわ。みんなにも見せてあげたいな。」
フレアはかっこいいラルフのすがたをスケッチブックにかきました。
「タイトルは『たんけん家ラルフの大発見!』ね。」

そしてフレアは、
(こんなふうにみんなのゆめや、すきなことをいっしょにやって、スケッチブックにのこしていこうかな)
とかんがえました。
おじいちゃんと船でつりあげためずらしい魚や、クマの男の子ピアーズと作った大きなドーナツ!
フレアは絵をかきながらみんなといっしょにいろいろなことができて、楽しくてたまりません。
(こんどはだれの絵をかこうかな?)

ある日、フレアはペルシャネコの女の子ライラの家に行きました。
「ライラのゆめをかかせてね。」
ところが、きかいいじりが大すきなライラは、こわれた時計のしゅうりにむちゅうです。
「お父さんの古い時計をなおしてあげたいの。」
と、ぶひんをつけたりはずしたり。
ライラを見て、さっそくスケッチブックをひろげたフレア。

やっと時計がなおったとき、ライラがてれくさそうに言いました。
「せっかくわたしのゆめの絵をかきにきてくれたのに、ごめんね。」
ところがフレアはにっこり。
「いっしょうけんめいのライラ、すごくすてきだったよ。この絵のタイトルは『小さな発明家さん』なの。」
フレアはスケッチブックをライラに見せました。
「わあ!」

スケッチブックには時計をしゅうりするライラのしんけんなすがたがかかれていたのです。
うれしそうなライラを見ながらフレアは、
(これからもみんなのえがおやかっこいいすがたをいっぱいかこう!わくわくしてきたわ!)
とたからもののスケッチブックをそっとだきしめました。 

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