パーティーへいらっしゃい

(あかりの灯る大きなお家)

 シルバニア村の学校のお絵かきコンクールで、ショコラウサギの女の子が一とうしょうになりました。
「おめでとう!ショコラウサギちゃん。」
と、よろこんだくるみリスの男の子は、
(そうだ!ぼくの家でおいわいのパーティーをひらこう!)
と思いたちました。
 ショコラウサギちゃんはお友だちをもてなすのがじょうずで、いつもすてきなパーティーをひらいてみんなを楽しませてくれます。
 そのお礼のきもちをこめて、うんと楽しいパーティーにしようと考えたくるみリスくん。
 家の中にショコラウサギちゃんがよろこびそうなしかけをいろいろ作ることにしました。
 じつは、くるみリスのお父さんは村でもゆうめいなはつめい家で、いつも新しいきかいやしかけを考えて、みんなによろこばれています。
 そこでくるみリスくんは、お父さんのまねをしてショコラウサギちゃんを楽しませようと思ったのです。
 お友だちに話すと、みんなも大さんせい。
「ショコラウサギちゃんが来たら、パッとライトをあてようよ。」
と、くるみリスくんが言うと、
「上から花びらがふってきたらすてきじゃない?」
「テーブルの上のおさらがうごいて、ケーキがはこばれてくるのはどう?」
 シルクネコの女の子やみるくウサギの男の子もどんどんアイデアを出してくれました。
 そして、みんなでいっしょうけんめいかぐをうごかしたり、しかけをつくったり。

 いよいよしかけがかんせいすると、さっそくできあがったしかけをためしてみることにしました。
 ところが……。
「まず、ショコラウサギちゃんがここから入ってくると、ライトがてらされるのね。」
と言いながらシルクネコちゃんがドアをあけたのですが、なにもおこりません。
 てんじょうからしずかに花びらがふってくるのをまっていると、バサーッとたくさんの花が頭の上からおちてきて、なにも見えなくなってしまいました。
 つぎは、テーブルの上をおさらがしずかにうごいてケーキがでてくるはずだったのですが、いきおいがよすぎてケーキがとびだし、せきにすわっていたみるくウサギの女の子はクリームまみれ。
 そのとき、とつぜんへやのすみにライトがあたり、おかしをつまみ食いしているクマの男の子がうつしだされました。

「あ~、しっぱいだ。」
と、くるみリスくんたちはがっかりです。
すると、そこにショコラウサギちゃんがやってきました。
「みんなでパーティーのしたくをしてるって聞いたけど。おてつだいしましょうか?」
と、ショコラウサギちゃん。
 でも、このパーティーはショコラウサギちゃんをびっくりさせてよろこんでもらうためのものです。
「いいよ。いいよ。だいじょうぶ。」
 くるみリスくんはあわててショコラウサギちゃんのもうしでをことわりました。
「でも、みんなもてつだっているみたいだし……。」
「ぼくたちだけでだいじょうぶ。」
「それならいいけど……。」
そう言ってショコラウサギちゃんは帰っていったのですが、うしろすがたがなんだかとってもさみしそう。

(ああ、あんなこと言わなければよかった。ショコラウサギちゃんはなかまはずれにされたと思って、もうパーティーに来たくなくなっちゃったかも。
なんとかよろこんで来てもらうほうほうはないかな?)
 そうかんがえたくるみリスくんは、あるアイデアを思いつきました。
 そして、みんなにてつだってもらって村中のランプをあつめました……。
 パーティーの日。
 夕方になって、そろそろパーティーがはじまる時間です。
 でも、くるみリスくんがしんぱいしていたとおり、ショコラウサギちゃんはなかなか出かけるきもちになれないでいました。
 すると、そこにシルクネコの女の子がよびにきて、げんかんにでたショコラウサギちゃんはドアをあけてびっくり。
 ショコラウサギちゃんの家からつづく道にランプがならんで、ずっとむこうまでてらしていたのです。
 これはくるみリスくんたちがあつめたランプを道にならべておいたものでした。
「わあ、きれい。」

 シルクネコちゃんといっしょにショコラウサギちゃんがランプでてらされた道をあるいていくと、ついたのは明るくかがやいているくるみリスくんのお家。
「こんなにすてきな道しるべははじめて。」
と、ショコラウサギちゃんはうれしそうに言いました。
 それだけではありません。
ショコラウサギちゃんがドアをあけると、いままでついていたあかりがぜんぶきえて、まっくらになりました。
そして、つぎのしゅんかん、ショコラウサギちゃんにだけ明るいライトがあたったのです。
「お絵かきコンクール一とうしょう、おめでとう!」
 みんなの声にショコラウサギちゃんはまたびっくり。
 へやが明るくなると、上からひらひらと花ふぶきがまいおりました。
 バルコニーの上からは、お友だちみんながえがおで手をふっています。
 そして、テーブルの上を大きなケーキをのせたおさらがスゥーッとうごいてきて、ケーキにはショコラウサギちゃんの顔がかかれていました。
 くるみリスくんたちがいっしょうけんめい作ったしかけは、こんどこそ大せいこう。

「このあいだは、ごめんね。ショコラウサギちゃんにないしょでみんなでじゅんびしたんだ。」
と、くるみリスくん。
 ショコラウサギちゃんはかんげきでむねがいっぱいです。
 こうして、あかりにてらされたお家ですてきなパーティーがはじまりました。

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