ケーキ屋さんのきねんのケーキ
(こだわりパティシエのケーキ屋さん)
シルバニア村に新しいお店ができました。
白いかべとピンクの三角やねがとってもおしゃれで、すてきなお店です。
子どもたちはショーウィンドウからきれいなお店の中をのぞいて、
「アクセサリーやさん?」
「ほう石やさん?」
とうわさしていたのですが、お店からただよってきたあまいかおりに、
「やったー!ケーキ屋さんだー!」
と、大よろこび。
ケーキ屋さんのパティシエは、トイプードルのお母さんです。
お店の中にはトイプードルさんが、ざいりょうとデザインにこだわって作ったきれいなケーキがならんでいて、まるでほう石ばこのよう。
「かい店きねんのケーキを作るからてつだってくれる?」
と、トイプードルさんにたのまれて、
「こんなきれいなケーキが作れるなんて、うれしいな。」
と、子どもたちははりきりました。
ところが、ケーキのデコレーションはどれもすごくこまかくて、子どもたちがてつだうにはむずかしすぎます。
がっかりする子どもたちに、トイプードルさんはにっこりわらって言いました。
「みんなにはアイデアを思いつくのを
てつだってほしいの。シルバニア村らしいとくべつなケーキを作りたいから、村のいいところを教えてね。」
「それなら、まかせて!」
と、子どもたち。
みんながトイプードルさんをあんないしたのは、お花ばたけに、かじゅえん、どんぐり山やせせらぎ川です。
「ショコラウサギちゃんは春にブーケを作ってプレゼントしてくれるの。」
「クマくんはおいしいくだものを見つける名人なんだよ。」
「せせらぎ川は村をよこぎって、森のむこうまでずっとつづいてるの。」
そんな子どもたちの話を、楽しそうに聞きながら、村中を見て歩いたトイプードルさん。
やがて、トイプードルさんは、
「ありがとう!いいアイデアがうかんだわ。」
というとさっそくキッチンにこもって、ケーキを作りはじめました。
それをウィンドウの外で見まもる子どもたちは、
「どんなケーキができるのかな?」
「いちごのケーキみたいだよ。」
「オレンジのケーキがいいな。」
と、もうワクワク、きたいでむねがいっぱいです。
そして、ついにかい店きねんのケーキができあがりました。
「さあ、きねんのケーキをどうぞ。」
とトイプードルさんが出してくれたのは、いちごやオレンジ、ブルーベリーとふわふわのクリームでデコレーションされたごうかな3だんのケーキ!
「みんながなかよくくらしているようすを見て、みんなのすきなものをぜんぶのせて、いろんなあじがあつまったケーキが作りたくなったの。」
と、トイプードルさん。
「このケーキを、これから毎日ウィンドウにかざることにするわね。」
というトイプードルさんのことばに、
「毎日食べにきちゃおう!」
と、大よろこびの子どもたち。
うれしそうにケーキをえらぶみんなのようすを見て、トイプードルさんは、
「また新しいケーキのアイデアを思いついたわ!」
と、キッチンにむかいました。
すてきなケーキ屋さんに、もうひとつおいしいケーキがふえそうです。